2015年11月18日水曜日

平和への願い

11月13日の夜に起きたパリ同時多発テロ。その衝撃的なニュースは、翌日のパリの在仏大使館からのメールで知りました。在留届を出しておくと、緊急事態が発生した際に、随時に情報提供をしてくれます。慌ててTVをつけましたが、残虐な光景に言葉を失いました。子供と見るにはTVの映像は過激過ぎてスイッチを消し、彼がネットでニュースを見ていましたが、パリのみならずフランス全土に厳戒態勢が敷かれていたので、その日は外出せず家にいました。

 パリにはその前の週に行ったばかりでした。1月のシャルリー・エブド襲撃事件以後、パリには行ってなかったのですが、Le bon marché (パリのデパート)に入る際に、ボディチェックがあったので、パリはディジョンとは違い、テロの警戒が厳しいんだな、と漠然と感じていました。本来であれば、年末に向かうこの季節、町の中はノエルのデコレーションで華やぎ、買い物客も増え、徐々に忙しくなる頃。それと同時になんとも幸せな幸福感に包まれる時です。子供は毎日のように「Père Noël (サンタさん)は僕のところに来るよね?僕、ママとパパに優しくしてるもんね」と無邪気に笑って言っています。もっぱら話題はノエルのことばかり。パパとママだけでなく、パピー(おじいちゃん)やマミー(おばあちゃん)ともプレゼントの打ち合せをしたり、今年のノエルはどんな風に過ごそうか、とそんな話を家族でする時間すら楽しく感じる頃です。
 
 襲撃されたコンサート会場に彼の友人がいました。テロリストが会場に侵入する前に、喉が渇いてビールを買いに外に出たので助かりました。ディジョンでも被害者が出たことを月曜日のニュースで知りました。その方の写真を見て「あっ…」と彼がつぶやきました。近所でよくすれ違うムッシューでした。彼は近所の高校の教師で、何度かすれ違ううちに挨拶をするようになったのですが、我が家の犬が麻痺になり歩行器をつけながら散歩していた際に「Bravo Bravo!」と笑顔でエールを送ってくれたのが彼でした。簡単に人の命を奪ってしまうことに対して、言葉にできない想いがあります。そしていつそれが自分たちの身に起こってもおかしくない状況にあることを感じます。
 
 フランスは15日に報復攻撃を開始、ラッカへの空爆を始めました。仏首相が、欧州内で、数日もしくは数週間のうちにまたテロが起こる可能性があるとしています。こんな事件があっても、普段と変わらず時間は流れ、元の生活に戻らなければなりませんが、得体の知れない恐怖が常にあるのが正直なところです。こういうことがあると、何気ない毎日がどんなに愛おしいかを感じます。

 今回の事件で亡くなられた方達、その遺族の方達に哀悼の意を表します。

 今回の事件に関して、フランスでも受け取り方は様々ですが、彼は今後も少しでもリスクのある場所には子供を連れて行かないと言っています。日曜日には,子供が楽しみにしていたコンサートがありましたが、キャンセルをして、ジュヴレ・シャンベルタンにお散歩に行きました。夕暮れ時のぶどう畑は一層綺麗です。


 メディアが流す映像の中には、大人でさえも見続けることができないものがあり、子供への心理的影響が心配されています。まだ息子は小さいので、TVも見せず、この事件の説明はしていませんが、子供にどのように説明するか、私達大人の責任です。下記の新聞社のサイトを見つけました。子供にいかに説明するかが、簡単なフランス語で書かれています。ご参考までに。http://www.liberation.fr/apps/ptit-libe/#/3/









2015年11月9日月曜日

Porte Ouverte 生産者の蔵開放

ドメーヌ・シュヴロのpoete ouverte(蔵開放)に行って来ました。秋になると、ブルゴーニュ各地のドメーヌからpoete ouverteと呼ばれるイヴェントのお誘いを頂きます。直訳すると、porte (扉)ouverte (開放)「一般開放」という意味ですが、予約なしで行くことができ、直接生産者と交流できる貴重なチャンスです。無料で試飲ができ、好きなワインがあればその場で購入することもでき、中にはこういった機会に、気に行ったワインをまとめ買いする方達も沢山います。ワイン産地ならではの楽しいイヴェントです。

マロンジュ村のブドウ畑。この時期の紅葉したブドウ畑は、本当に綺麗で毎年感動します。

パブロさんから、醸造の話など真剣に伺っていたら、すっかり写真を撮るのを忘れ…苦笑。中にはフォワグラやジャム,パンやチーズなど買える物販コーナーもありました。最後に古いサントネーの白ワインを開けて頂き試飲させてもらったのですが、若い頃より寝かせることによって、果実の中の甘みが際立ってきて、僕が好きなワインのひとつなんだと話されていましたが、どのワインも繊細で上品。私も真似して寝かしてから飲んでみよう、とSantenay comme dessusなど購入して帰ってきました。やはり直接生産者に会い、彼らのワインにかける情熱を知ることで、ワインへの理解が深まり、より一層愛着をもって頂くことができます。いつか開ける日を楽しみに、しばらく寝かせておきます。
ドメーヌ・シュヴロ