2010年9月28日火曜日

美しく気品に満ちたサンルイ 20世紀初頭

SAINT LOUIS ANCIEN CALICE
CALICEとは、フランス語で花弁のこと。

今回ご紹介するのは、ヨーロッパ最古のクリスタルメーカーSAINT LOUISについて。
日本では、SAINT LOUISはあまり馴染みがないかもしれませんが、フランスでは、BACCARATと並ぶ、由緒あるクリスタルガラス工房で、現在はメゾンドエルメスの傘下に入っています。

20世紀初頭の上流階級の間では、SAINT LOUISのグラスを持つことがステイタスだったようで、今でもその伝統は受け継がれ、私の知り合いの家では、祖母からのHERITAGE(相続)といって、ガラスの食器棚に大切に飾られたワイングラスのコレクションを見せて頂いたことがあります。時代が変っても、尚輝き続けるSAINT LOUISの魅力は、私は何といっても芸術的なカットの美しさにあると思っています。


そしてこのグラスを光にかざしてご覧頂くと驚きが…黒味を帯びた赤色が変化し輝きを放ちます。(まるでワインのコメントみたいですね…笑)これは、「Cristal doublé 」という技法で、まさにクリスタル職人の技術の高さによるものです。そして、フットの部分に16個のカッティングが施されているのが、SAINT LOUISの証です。

この時代のものは、現代の量産のものとは違い、全てハンドカットで、スケッチ、成形、カッティング、研磨の最終段階まで、幾重もの工程があったことが伺え、その為生産コストもかかり、残念ながら今ではここまで時間をかけ贅沢に作られることは少なくなってきています。リキュールグラスは、フランスでもコレクターの多い分野。
是非お近くで、光にかざして、その美しい輝きと職人の思いが込められたグラスを堪能して頂ければと思います。こちらのグラスも「カーブフジキ」 にてご紹介しております。

 「Cristal doublé 」 
無色のクリスタルの上に色つきのクリスタルを被せた2層のクリスタルのこと。
「色被せ(いろきせ)グラス」。
透明なグラスに色ガラスを被せ、それに細かで繊細なカットを施すことによって、

鮮やかなコントラストのある輝きが生まれます。
その一部にカットを施して色つきガラスと無色ガラスのコントラストを楽しむことができ、
この技法が素晴らしい色の濃淡を創り出します。


アンティークに魅せられて

はじめに…

 フランスで暮らし初めて早いもので4年が経ちますが、今では週末は蚤の市(ブロカント)やアンティーク市に通うことが楽しみになりました。そこで出逢った、今では探すことが非常に難しい、19世紀にヴィニョロン(ワイン生産者)が使っていた農具や、アンティークバカラを初めサンルイ、ドームなどのクリスタル製品、クリストフルなどの銀製品、ワイン小物を中心としたテーブル周りがちょっと豊かになるヴィンテージ雑貨などを、銀座「カーヴ フジキ」に卸しています。カーヴ・フジキ(藤木酒店)は明治22年創業の老舗の酒屋さん。そんな由緒あるお店に、同時代を生きたフランスの古いオブジェをご紹介できることを嬉しく思います。このブログでは、それらのオブジェや、個人的にコレクションしているガラクタなどご紹介できたらと思っています。これからもどうぞよろしくお願い致します。

 
銀座「カーヴ・フジキ」にて12月にアンティークのEXPOSITIONを開催する予定でいます。
20世紀初頭のクリストフルのテーブルウェア、アンティークバカラ等、
日々の食卓でも十分使える「普段使いのアンティーク」をテーマに
ご紹介したいと思っています。
是非ご来店頂き、フランスのエスプリを感じて頂けたら嬉しく思います。
どうぞよろしくお願い致します。







アンティークバカラのコレクターに人気があるのが、
刻印のない(1936年以前)カタログ時代のもの。

 こちらのアンティークバカラは 12月に店頭に飾られます。 
↑ こちらが上記のカタログに載っている19世紀後半ワイン用グラス。
                
現代の大きいグラスに比べると、小振りに感じるかもしれません。
繊細な彫りと優美なフォルム。

                       



こちらは、1936年以降のESTAMPILLE(刻印)のある時代のもの。
金の淵のある、シンプルでかわいらしいペアグラス。
クリスマスに、前菜を載せても素敵ですね。

柔らかく滑らかで、思わず手に取りたくなるようなクリスタルグラスの魅力を堪能して下さい。