今日は醸造所内での研修です。
Philippeは何をしているかというと、ラボに提出するサンプルを作る前に、ポンプで下から液を汲み上げ果帽にかけているのです。よく混ぜてからサンプルを作ります。それにしてもショートパンツに長靴、なんだか子供みたいでかわいいですね(笑)
飲ませて頂いたのですが、濃縮果汁といった感じで既に美味しい。こんなジュースが売っていたら買いたいくらい。こちらのガラスの糖度計(aérometre )、水銀の入った古いタイプのものなのですが、こうやって大切にずっと使われているのを見るとなんだかとても嬉しいですね。
果汁を冷却(Refroidir)しているのです。中にマイナス80度のGLACE CARBONIQUEを投入して冷却します。何回かに分けて加えていましたが、白い煙にみんな初めは「うぉー!」って叫んでいました(笑)「味覚的に害はないの?」と聞くと、温度に反応するだけで、その他の影響はないそうです。
実はこちらのマシーンは、工場で牛乳を冷却する際に使われていたものとか。確かにeauipement laitier(乳製品設備)って書いてあります(苦笑)。600L入るそうです。今ではこのような小さなサイズの冷却機は使われなくなり安く買えたそうですが、一般的にワイン関係の機具というのは、どれも高いです。ワインで使うものとなると急に値段が上がるとか。だから違うもので代用しようと思うのでしょうね。なんともフランス人らしい。
こちらの槽の果汁を冷却しました。9月13日29度1037は糖度です。温度が高く糖度もあるので冷却したのですが、発酵が行われている間、含有糖分の低下は比重の変化として測定され、一日一回温度計と果汁測定器で観察します。それによって、発酵に介入すべきか、介入するとすればいつすればよいかがわかるのですが、その辺が私には正直難しい…
冷却する準備をしている間に、あっという間に31度に上がっていました。
冷却する準備をしている間に、あっという間に31度に上がっていました。
こちらは、1級のEstournellesの槽ですが、32NBというのは、ノンエグラッペ「non égrapper」といって、葡萄の粒を房から摘み取らず、機にかけずに直接槽に入れたもの32ケースという意味。反対に28Eというのは「 égrapper」したもの28ケース入れましたよ、ってこと。 息子さんに、この量に対して2LのSO2は多いのかどうか聞くと、「non égrapperだと果汁が少ないのでリスクが低い、全体として悪くない量だと思うよ」と。通常 に対してSO2は Lと言われています。égrapperを入れた際には直ぐにSO2を投入していましたが、「non égrapper」の葡萄を直接を入れた際にはSO2はすぐには入れていませんでした。こういうことも、実際研修してみて初めて知りました
そこで「この段階でSO2を添加しない生産者もいるけれど、その点についてどう思う?」と聞いたところ、「今年の葡萄のように腐敗が多いと、選果をきちんとしていればいいけれど、もし腐敗した葡萄が入ってしまった場合はリスクが高い」との回答が。ちなみに彼らは、畑での房レヴェルの選果(この時点でかなり捨てていました)、必要であればカーヴでもチェックしていました。
そこで「この段階でSO2を添加しない生産者もいるけれど、その点についてどう思う?」と聞いたところ、「今年の葡萄のように腐敗が多いと、選果をきちんとしていればいいけれど、もし腐敗した葡萄が入ってしまった場合はリスクが高い」との回答が。ちなみに彼らは、畑での房レヴェルの選果(この時点でかなり捨てていました)、必要であればカーヴでもチェックしていました。
彼は以前SO2無添加のアルザスのピノノワールを飲んだことがあるそうですが、開けて30分もたたないうちにfoutu=駄目になってしまったそうです。やはり繊細だから、温度管理とか慎重にしてあげないとリスクは高いよね…と言っていました。(勿論全てのSO2無添加ワインがそういう訳ではありませんが、何らかの問題があったワインなのでしょう、きっと)
綺麗な色でしょ? |
果汁を加えたらよく混ぜます。砂糖がちゃんと溶けたら、ポンプを使って槽に戻し入れます。戻したら、Pigeage(かい入れ)します。この作業は力仕事。それも高いところでの作業なので大変そうです。
補糖の際に、色んな槽の果汁を見ましたが、微妙に色が違います。畑や、non égrapperの比重によっても、また発酵段階によっても違うのでしょう。槽の中に入っていると、その違いを知ることができませんが、奥の槽の、ドミニク・ローラン用の殆ど「non égrapper」のものは、色が一番濃かったですね。それにしてもどれも色付き始め(colorerってフランス語で言いますが)美しい色です。
「補糖とは何か?」
ワインのアルコール分は、その原料である葡萄に含まれる「糖」が、酵母の働きによってアルコールに返還されたもの。もし原料葡萄の糖度が低ければ、その糖度に見合った低いアルコール分しか得られないことになります。そこで糖度の低い葡萄果汁に人工的に「糖」を足して、葡萄の果汁を上げるということが行われます。こうすることによって高くなった糖度の葡萄果汁から、より高いアルコールが得られることになります。このことを「補糖」と言っています。
以前は、補糖は1回のみ許されていましたが(未だにそう書いてある本もあるかと思いますが)、現在は数回に分けて加えることが許されています。「1回だけだと失敗したら終わり。今は幸運なことに数回に分けて添加していいんだよ。要はコントロールの人にとって、どの位加えたかが重要だからね」とPhilippe。「量によってTAX(税金)が変わってくるから最終的な数字が大切なんだよ、その過程は彼らにとってどうでもいいんだよ」と(笑)。
「補糖」は必要なのか、必要でないのか?論議を呼ぶところですが、個人的には、年によって葡萄の出来次第では、補糖はやむを得ない場合もあるのかな?と思っています。葡萄の品質に直結してきますが、未熟な葡萄では、補糖によってアルコール分はカバーできても、良質なワインはできません。やはり最終的に葡萄栽培(畑でのヴィニョロンの仕事)と「葡萄の品質」が全てに繋がってくるのかな?と思っていますが…。
0 件のコメント:
コメントを投稿