2010年11月28日日曜日

ニュイサンジョルジュのアンティーク市 ②

勿論ワイン関係のものも沢山出ていました!こちらは、ワインの瓶にコルクを差し込む道具、
Bouche bouteille。


マダムがどのように使うか丁寧に教えて下さっていると、回りにいたアンティーク商のおばちゃんも興味津々やってきます。私はすぐに使い方を理解したのですが、「この日本人のマダムは理解したかもしれないけれど、私はわからない。私にもわかるように説明してっ!」と。そう、この国の人は、納得してないのに、表面的にわかったふりをしませんし、簡単に「Oui(はい)」とも言いません。お互い理解し合う為に、とことん話し合うのです。私は「やれやれまた始まった…」と思いつつも、そこに人としての生き生きとしたものを感じるのです。

大声でやり合っていたら、後ろのおじさんも近寄ってきました(笑)


ブルーのPresooir のおじさんも出店していました。こちらのフライパン、オムレツを焼くものです。オムレツと言えば、皆さんも一度は訪れる(勿論これは観光客の話で、意外とフランス人は行きません)モンサンミッシェルが有名ですが、こんな長い柄のフライパンで焼いていたのね。

こちらは、ouillageの時に使われていたものかと思ったのですが、このように裏に穴が開いていて、traitement(畑の手入れ)の時に使用されていました。害虫を殺す為の道具だそうです。銅でできているなんて、なんとも贅沢ですよね。

そして今回最大の出物は、この「Alcometre au mercure 」でしょう!といっても買っていませんが…厳密には買えなかったのです。全て売約済みでした。またもや悔しい。でも値段もお高かったから、どちらにしても手が出なかったかも…と自分に言い聞かせます。こちらは見た瞬間にmuseéワイン美術館)クラスだと感じました。19世紀後半に使われていたもので, Alcometre au mercure (アルコール計)で、Rullyvignoron の家から出たものらしいですが、それはそれはとても貴重なもの。
こちらなんて、オリジナルの木箱付き!(クラクラッ)このパリの会社はもう存在しないので、コレクターには尚更魅力的なのです。いやぁ、参った…といいつつも「何が言い訳?」と聞こえてきそうですが、理屈ではないのです。

          Decapsuleur à crement



そしてこれこれ!ガラスフェチには我慢できません。「こんなの買って何に使うわけ???」と外野にブーブー言われましたが、完全にシャットアウト!(笑)迷わず記念にひとつ購入。ガラスが薄く、とても繊細にできているのです。グレーの液体は水銀。この簡単に割れそうな儚さが美しいのです。よくぞ、100年という歳月の中、割れずに生き抜いてくれたなと感動せずにはいられません。ちなみにこちらのメーカーのものは、Paris Musée du vin にガラスケースに入って飾られています。その話はまた次回詳しく…

そうそう、こんなアンダストリアル家具を販売しているお店もありましたね。今フランスは1940年代から1970年代にかけて、工場やオフィスで使われていた椅子やらランプ、ロッカーなどが人気を集めています
こちらは、「jieldé」のランプ。台座を石の台にアレンジして販売しているそう。今は、Reproductionのカラフルなものも沢山でていますが、やはり古いものは味わいがあって素敵です。日本だとideeで購入できるのはないでしょうか?



(番外編)

意外とこんなものにも心を奪われてしまうのですが…こちらは1950年代~の消防士のヘルメット。私だったらインテリアに飾りたいなぁ~。私は、カフェオレボウルのようなフェミニンなものより、こういった無骨なもの、職人が使っていた古い道具などがたまらなく好きです。

 
 でも今、こちらの投稿を日本で書いていますが、日本人はどちらかというと新しいものが好きな国民性なのかもしれませんね。そういう意味では、これらのオブジェは、ただの「ボロ」かもしれません。帰りのリムジンバスで、若い女の子が「パリに幻滅した、ただ古いだけで、日本の方が便利だし、お洒落で何でもある」と。そして「接客態度もなってない!」と怒っていました(苦笑)。フランスは、行く前のイメージと実際のギャップが激しい国のナンバーワンに選ばれているそうですが、確かに古いものを大切にする文化ですし、保守的で変化を嫌う傾向にあります。そして接客態度もなっていないかもしれませんが、言葉ありきのところもあって、話すと意外と人間味があって親切だったり・・・ある意味、日本とは逆な部分もありますが、実際に住んでみて、違う側面が見えてきたこともありますし、日本とフランス、2カ国の文化や考え方の違いを比較することで、自分の価値観が変化してきたことも事実です。このブログで、時折、そんなこともお伝えできたらなぁと思っています。

ニュイサンジョルジュのアンティーク市 ①

ニュイサンジョルジュで行われたアンティーク市に行ってきました(といっても早いもので2週間前になりますが…)アンティーク市って、「これは一体何に使われていたのだろう?」と,想像もつかないものもあり、その謎解きが面白いものです。子供の頃、玩具箱を開いた時の気分に似ているかな?ワクワクします。

一際目を惹いたのがこのお店。キッチン道具専門のスタンドですが、
まるでお店が移動してきたかのよう。



大人になっても、女性はおままごとの思い出を忘れない…
                          ブルーで統一されたコーナー。


 実はこの木でできた3段の野菜かごが欲しかったのですが…昔八百屋さんは、これにじゃがいもやら人参やら入れて販売していました。今でも実際使われているのを見たことがあります。周りから、「こんなもの買ってどうするんだっ!」と強く止められなかったら、危うく買うところでしたが、ダメかな?

さて、これらのポスターは何に使われていたかお分かりになりますか?










 小学校の授業で使われていた教材です。様々な種類があって、フランス語を勉強し続けなければならない私にとっても、大変興味深い内容です(というか、ある意味専門用語で難しいぞっ)

私はこの教材シリーズが大好きで、見ていると不思議と癒されます。以前銀座「カーヴ フジキ」にワイン繋がりということで、こんなポスターを購入しました。ラングドック地方のワイン工場?ですが、こちらは裏が、パリの地図!(全く関係ない…苦笑)ワイン関係のものは、とても珍しく、いつも探すのですが、ホントないですね。

こちらのようなスタンプもあります。1950年代頃まで、先生が教材を作るために使っていたスタンプです。ひとつひとつ、スタンプを押しながら手間暇かけながら作っていたかと思うと、「いい時代だったわよね~」と周りのおばちゃん達が話していましたが、今でもフランスでは、手作りの教材というのが存在すると聞きました。同じ学年でも、担任の先生が違えば、使う教材も違うそうです。教科書も、日本のように学年が変われば一斉に新しいものが配られるのとは違い、お下がりをもらうそう。これも流石フランス…?


個人的にこちらの馬が耕作している図が好きです。
絶対、vigne(ワイン畑)よ!]とおばちゃん達は言っていましたが、長閑な風景です。

こちらは、子供の玩具ばかり売っていたアンティーク商ですが、以前彼から衣紋かけを買ったことがあります。こちらは20世紀初頭のべべ(赤ちゃん)のベット。一緒に行った知り合いが、「生まれてくる双子の孫にええなぁ!!!」と興奮して買いそうになっていましたが、勿論一人用です(実際の赤ちゃんはもっと大きいのよ…トホホ)



 一軒一軒丁寧に見ていたら、疲れてしまいました。ここで一休み。休憩室があって、近所のおばちゃん達が作ったタルトが売られていたり。それも1ユーロとか、安くて本当に美味しいのです!
私は結局のところ、昼間から堂々とワインを飲めるこの国が好きです。へへへ…


2010年11月15日月曜日

ヴィニョロンの靴 SABOT

こちらは銀座「カーヴフジキ」に届いたばかり。是非ご覧ください。

こちらのサボは、フランソワのお宅を訪ねた時に、「たまたま今日入ってきたんだ」と言って見せて頂いたものです。「ヴィニョロンもしくは農民の子供の靴だね」 「所詮、ヴィニョロンも農民だからさ」と言われましたが、この靴を彼(主人)に見せた時に一言「貧乏人の靴だね、昔僕のおばあちゃんも履いてた…」と言われました。古い文献の中のモノクロの写真を見ていると、確かにヴィニョロンは、このサボを履いて畑仕事をしていますが、履き心地は良かったんだろうか、と不思議に思います。大人用は、あまりに使用感があったので、ブドウ柄のついた、こちらの子供用を選びましたが、このサボを見ると、その頃の農民の暮らし振りが伝わってきます。今も変わらず、大半の造り手は、ワインの「Snobisme」からは懸け離れた、素朴で温かな人が多く、ワイン造りに熱い想いを持ちながら、慎ましく暮らしています。

  こちらはお父さん用?
                      
こちらはお母さん用かな?  
 
お庭には海外輸出用の「bonbonneが並んでいます。

  
                          


これらにも種類があって、洋ナシ型、リンゴ型等。産地も様々。ブルゴーニュ産、イタリア産、スペイン産など。でもアメリカ人は、ブルゴーニュ産が好きなんだそう。     


こちらが彼の仕事部屋。お宝が沢山転がっていて、興味津々。でもいいものは直ぐに売れてしまうので売約済みばかり。いいなぁと思うものに出逢ったら、待ったは利きません。一瞬の判断が大切だといつも言われるのですが、それには経験が必要。失敗を繰り返しながら学んでいくのです。奥深い世界です。それはワインの世界と同じこと。

本来「bonbonneは、藁に包まれています。20世紀初頭には、運送の際に使われたり、また家庭では、こちらにいれて保管していたそうです。今のワイン瓶の代わりですね。アメリカ人は、藁を外してインテリアに使うそうですが、「ちょっと残念だよね…」とフランソワ。でも確かに、最近フランスでもこちらのbonbonneはインテリアやデコレーションによく使われています。例えば、こちらは「OlivierLeflaive」のレストランでの写真。

  よくワインショップでもコルクを入れて飾ってあります。
 フランソワは、ワインを「文化」と捉えていて、「僕は自分の仕事が大好きだし、この職業を誇りに思っている」と話してくれました。 フランスは「モノを大切にする文化」だと暮らしてみて実感しました。壊れたから、飽きたから、といって「ポイッ」と捨てません。本来の用途を失ったオブジェも、今度はインテリアに使ったり、古いソファーも修理したり、布を張り替えながら使っているのを実際見ると、そうやって良質なモノを代々受け継いで使うことで、逆に審美眼を養うことができるのではないかと思います。
 日常から消えつつある、昔ながらの方法で手間ひまかけて作られたモノを、大切に受け継いで使っていくことで、私たちは心が癒されます。ひとつひとつ、職人によって作られたものだからこその味わいや温かみがあり、私たちはモノに愛着を感じるようになるのだと思います。少なくても、本当に大切だと思えるモノに出逢えたら、一生愛でる覚悟で、そのモノと向き合っていきたいと思います。

 
「このヴァンダンジュの籠こそ、お店に飾ってほしいなぁ~」とフランソワ。
同じことを、彼(主人)も言うのですが、
やはりBourguignon(ブルゴーニュ地方の人)の誇りなのでしょうか?






2010年11月8日月曜日

ニュイサンジョの1er VIDE CAVEに行ってきました


既にブロカントの季節は終わりに近づいていますが、昨日はニュイサンジョルジュで、古いミレジムのワインと古いワイン関連のオブジェの販売が組み合わされた「vide cave というものが、初めて開催されるというニュースが入り、訪ねてみました。生憎の雨で、参加者は少なかったのですが、普通の人が自分の家のカーヴで眠っていたワインを販売しているので、面白い発見?もあり、ローカルな楽しいイヴェントでした。

私は、試しにこちらのワインをゲット。販売しているお兄さんに「僕のカーヴは古くからある伝統的なカーヴだから、保存状態は保障するよ!」とカーヴ自慢されてしまいました(笑)どんな風に化けているかは、開けるまでの楽しみ!


こちらのトレーも買ってしまいました。有名なecrivinの言葉なのですが、このトレーを持って歩いていると、周りのおじちゃんやおばちゃんが気軽に声をかけてきます(笑)「いいもの見つけたわねー、マドモワゼル。アラッ、BERNARD PIVOTの言葉じゃない、いいこと書いてあるわねぇ。そうよ、ブルゴーニュワインは楽しむものよ、まさに人生の喜びよ!」
「ブルゴーニュワインは、目で楽しみ、味わいを楽しむ。これ以上の喜びはない。」

ここでも沢山の道具に出逢いました。
最近では、こういう道具系のコレクターというのは、フランスのみならず、海外にもいらっしゃって、バイヤーが買い付けに来ています。日本では、本格的に売り出すのは「カーヴフジキ」が初めてなのではないでしょうか?
さてこちらは何でしょう?ちなみに既に売約済みでした。

こちらのPressoir圧縮機は、ラボ(試験所)で収穫前のブドウ(Premier raisinの糖度やアルコール度数などを調べるために使われていた道具なのですが、こちらは珍しく、ブドウ果汁が直接触れる部分に、釉emailがかかっています。通常は全て鉄でできていました。では、「なぜemailを塗る必要があったか?」それはできるだけ雑味が入らず、ピュアな果実実を味わいたかったから。でも戦後の食糧難の時期に、このemailを塗ることは、大変費用がかかり、勇気のいる決断だったようです。なので、大抵のPresooirは、鉄のみでできているのです。


 そこで、銀座「カーヴフジキ」にもうすぐ届くPressoirはこちら。 


 こちらは全てemailがかかっているのです!これは大変珍しいことです。まさに一期一会の出会い。その時代のワイン造りにかける情熱と拘りが感じられます。そして純粋に美しいと思ってしまいました。

 実はこちらのPressoir.ちょっとしたエピソードがあって、こちらの写真を、店長の加藤美夏さんにお見せしたところ、大変気に入ってくださり、アンティーク商の方のご自宅、オータンまで、取りに行った思い出があります。とても暑い日だったので、冷えたビールをご馳走になり、思わず長居をしてしまいました。今でもお会いすると、「あのブルーのPressoirはもう日本に着いた?」と、まるで自分のお嬢さんをお嫁に出したお父さんのよう・・・そのお気持ちを繋いで、銀座「カーヴフジキ」で沢山のお客様にご覧頂けたら、私達も嬉しく思います。それだけの「価値のある逸品」であることは間違いありません。

「ブルーのPressoirのおじさん」と呼ばせて頂いています。
定年後、ワイン造りの為の古い道具に愛情を注ぐ。
ワインに対する情熱は人それぞれ。

2010年11月3日水曜日

モンドールの季節になりました

 迂闊にも風邪をひき、この4日間寝込んでしまいました。そんな病み上りに、友人から、Mont d‘Orを食べよう!との嬉しいお誘い。こちらのチーズは、彼の友人アブデンビがお友達から譲ってもらった、生産者が自家消費用に作っている特別のものとか。この濃厚でクリーミーなチーズを頂くと、「あっ、今年も寒い冬がやってきたな…」と毎年思います。私は、このようにチーズフォンデュのように温めて、ジャガイモやシャキュトリーと一緒に頂く方が好きです。チーズフォンデュより、重くなく、香りもよく、Mont d’Orの方が美味しいというフランス人も多いですよ!(といっても、実は私は乳製品が苦手。きっと、チーズ好きな方にとっては、最高に恵まれた環境にいるんでしょうが…)

アペロタイムに素晴らしいワインが開いた!ラッキー!


彼らは、モロッコ人なので、豚肉は食べれません。
ということで、こちらのハムも鶏肉で作られています。

トロトロをみんなでつつく。
どこかお鍋を囲んでいるようで、楽しい時間です。

   
合わせたワインはこちら。


10か月のかわいいマドモワゼル、ダリアちゃん。
こちらは、生まれた時から、赤ちゃんであっても個室を与えられます。なので、添い寝や川の字になって寝るなんて以ての外。パパやママの部屋に入ることも勿論禁止。そこから先は大人の世界だから。国が違えば、文化や習慣も違い、学ぶことも多いです。
←「ようこそ、ダリア!」と書いてあります。お友達が作ってくれたそうです。君の誕生を待ちわびてたよ、という気持ちがこもった、温かなプレゼントだと思います。そしてフランスの部屋には、やたら蝶々が飛ぶ?