2010年10月5日火曜日

バカラ美術館


バカラ美術館に行ってきました。バカラ村は、人口5000人の小さな静かな村で、美術館以外は、これといった観光名所もないのですが、私はこの小さな美術館が大好きで、今回2度目の訪問になります。19世紀から20世紀初頭にかけてつくられたクリスタル製品は、一つ一つハンドカットで、時間をかけて、丹精込めて作られた職人芸、その完成度の高さは「芸術」の域にはいると思います。クリスタル工房としての誇り、その技術の伝承…全てのバカラ製品が、この小さな村で生まれたかと思うと、感慨深く思います。


お隣のブティックにはこんなかわいらしい小豚が飾られていましたが、
こちらも100年後には「アンティーク」と呼ばれるのでしょうか?
 
美術館には溜息が出る程美しいCARAFE(デカンタ)がいっぱい。

こちらのクリスタルボウルにご注目ください。
こちらのクリスタルボウルですが、diament(ダイヤモンド)」 という人気のシリーズで、バカラ社を代表する、洗練された技法のひとつです。19世紀には、carafe (デカンタ)やグラス等、沢山の種類がつくられましたが、実は、同じ種類のボウルが、現在銀座「カーヴ フジキ」に飾られています。こちらは、エッジにシルバーがついた珍しいタイプで、シルバー部分には、きちんとpoinçon*がついています。「この当時、バカラ社が一緒に働いていたのは、クリストフルではないかしら?」とアンティーク商のマダムは話していましたが、それは定かでないにしても、1930年頃のDEPOSE BACCARAT時代の貴重なものです。
          poinçon・・・銀製品などに打つ検証刻印                        
                     


 La gravure
フランス語で彫刻の意味ですがモチーフをレリーフ上に掘り出すのに使われる技法です。上記のグラスもそうですが,硬度の高い工具でガラスの表面を研削して模様や柄をつくる
装飾技法のひとつで、20世紀初頭のガラス製品によく用いられました。上記のグラスも、葡萄のモチーフが彫られていますが、その細やかな細工は、流石多数のMOF( フランス最優秀職人)を生み出してきたバカラ社だけのことはあります。そのレヴェルの高さがわかります。 

 


 こちらにも沢山の工具が展示されていました。フランスでは、お店のショーウィンドーに、よくその職業で使われていた昔の道具類が飾られています。例えばワインショップではPRESSOIR(葡萄圧縮機)やぺペット 、お肉屋さんでは、昔使われていた包丁等…OBJET DE METIER(職人の道具)と呼ばれるものですが、これらを飾ることはその道で生きた職人達への「敬意」ではないかといつも思って眺めています。

Bibliographie(参考書目) Baccarat manufacture françaiseより

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